京都府の若手林務職員研修で使われた資料が、森林技術センターに放置されていました。中身を見て愕然としました。
最初は、ネットにある情報(栗の歴史、世界の栗、栗の生産量、丹波栗の話)、誰でも、いつでも入手できる情報を、公務員を集めた研修会で話す必要はありません。経営指標として「米は10aあたり9,911円のマイナスだが、栗は369,230円のプラスになる」と書いてあります。栗は、最盛期には10aあたり40万円の収入になるでしょうが、本格的に収穫できるまに4年は必要です。そもそも、水田を栗園にするためには工事費が10aあたり数十万円は必要です。丹波栗の栽培体系は、1982年に発刊された「クリ栽培のてびき」からの引用です。農薬を多用する内容で、今の時代にはそぐいません。次に、栗の価格が示されています。京のブランド産品として売られた丹波栗は3,8トンで、売り上げが717万円とあります。1kgあたり価格は1,887円にしかなってません。氷蔵処理した栗なら1kgあたり3千円以上で売れます。「丹波くりは高い」と書いておきながら、その価格は、早生は500~700円/kg、中生は700~1,200円/kgとしており、これでは10aあたり20万円以下になってしまいます。食味の順位が示されていますが、良食味の「ぽろたん」がないのは、JAが、腐敗果との区別が難しい「ぽろたん」を嫌うからでしょう。そもそも、丹沢のような良食味の品種を石鎚の下にしており、デタラメです。最後は「休耕田のくり園化」として7ページも割いています。休耕田に栗を植えるメリットは「剪定などの作業が容易で安全だ」としていますが、デメリットは多く、1mは掘る必要があり経費がかかる、耕板を壊すので水田に戻せなくなる、周辺農地の獣害を助長する、周辺農地の日照条件が悪くなります。由良川沿いの休耕田に植えられた栗は育っておらず、アカメガシワなどが生い茂る原野になっています。「適地」を「敵地」と書いていたり、とにかく酷い資料です。こんな資料を作る職員がいることだけでなく、こんな話を、若手職員研修で聞かせるのが京都府組織であることを知って、京都丹波栗の会員は、大変に驚きました。