収穫した栗のうち1~5割は虫に食われています。特に、モモノゴマダラメイガは被害が大きい害虫です。この虫は、栗だけでなく、果物(モモ、ウメ、カキ、ブドウ、カンキツ類)や針葉樹(ゴヨウマツやスギ)にも加害します。被害を受けたイガは、幼虫が吐いた糸で枝や葉に綴られているため落下しません。イガのトゲが短く密な品種ほど被害が激しくなるようです。
この虫は、老熟幼虫が繭のなかで越冬します。羽化した成虫は、5月下旬〜6月下旬、7月中旬〜8月中旬、9月上旬〜中旬の3回発生します。越冬成虫(5月下旬~6月下旬の成虫)はモモやウメなどに産卵し、栗への産卵はほとんどないのですが、夜久野町では、6月、小さな毬が加害されました(写真添付)。
通常、この虫は7月以降に、直径3cmになったイガに産卵します。小さな幼虫はイガを食害して成長すると果実に食入します。イガを食害している時期に薬剤散布することで若齢幼虫が駆除できます。ただし、薬剤散布するとアブラムシを食ってくれるテントウムシなどの益虫も殺してしまうので、他の虫害が激しくなる場合もあります。そこで、収穫時にイガを丁寧に拾って処分(焼却がベスト)することで被害を抑える人が増えました。この虫は、イガの中に繭を作る場合もありますが、イガから離れて落ち葉などに繭を作ることも多いので、イガを栗園に放置すると、翌年の被害が増えるのです。収穫作業に追われてイガの処理に手が回らない場合、大きなタライを栗園のあちこちに置いておいて、最寄りのタライにイガを入れておき、時間があるときにまとめて処分すれば効率的です。栗園周辺が放任栗園だったり、モモやウメ、ゴヨウマツが多いと、イガを処理しても、周囲から成虫が飛来しますので、周辺の土地の管理も重要です。